Q. 風力発電が地域の景観と調和している事例はありますか?

A. 例えば、デンマークの首都コペンハーゲンでは、市民参加のもとで当初の計画を変更して、より地域の景観と調和させた事例があります。

最終更新:2022年8月3日

デンマーク・コペンハーゲン沖で2001年から稼働している「ミドルグルンデン洋上風力発電」は、2MW×20基の洋上風力発電所です。20基のうち、半分の10基はコペンハーゲン市民等によって構成される協同組合が所有しており、さまざまなステークホルダーの懸念に対し、十分な時間をかけて合意を形成した優れた事例です。

コペンハーゲンでは、洋上風力発電所を建設するにあたり、行政が開催する2回の公聴会をクリアしなければ許可を得ることができません。1997年6月に開催された第1回目の公聴会では、24件のポジティブな意見と8件のネガティブな意見が出され、行政からも予備調査の内容について多くの質問が出されました。特に、景観への影響に関する懸念が大きく、これを受けて、当初は27基の風車を3列で設置する予定だった計画は変更されることになりました。

当初計画:9基×3列=27基(写真:The Middelgrunden Offshore Wind Farm

1998年6月に開催された第2回目の公聴会では、当初の27基から20基に風車の数を減らし、景観に調和するように円弧状にレイアウトする修正計画が出されました。このレイアウトの背景には、かつての海上防衛システムが市街地を中心に円弧状に組まれていたことから、そうした歴史的な空間計画を現代のエネルギー生産に反映させるという考え方がありました。

市街地を中心とした過去の海上防衛システム(画像:The Middelgrunden Offshore Wind Farm
円弧状のレイアウトに修正された計画:20基×1列=20基(写真:The Middelgrunden Offshore Wind Farm

モンタージュ映像に加え、詳細な景観影響調査のレポートや冊子などがあわせて制作され、これらにもとづいて修正計画は第2回公聴会をクリアすることができました。そして、1999年夏に包括的な環境影響調査が実施され、同年12月に地元の各種団体、委員会メンバー、数千人の出資者らが最終公聴会で事業実施支持の意見を提出し、一部のヨットマン、漁師、個人からの反対はあったものの、計画は許可を得て実施されました。

関連参考情報