Q. 太陽光発電のエネルギーペイバックタイムはどのぐらいですか?

A. 現在、広く普及している太陽光発電技術の日本におけるエネルギーペイバックタイムは1〜3年程度と見積もられています。

最終更新:2022年7月20日

設備の製造などにかかった投入エネルギーと同等のエネルギーを生み出すまでの時間を「エネルギーペイバックタイム(Energy Payback Time, EPT)」と呼びます。大まかには、下記のように表されます。

Ein : ライフサイクル中に必要になるエネルギー
eav : 単位期間中の発電量で節約できたエネルギー投入量

EPT = Ein / eav

太陽光発電の場合、ライフサイクル中の投入エネルギーには、下記のようなものが含まれます。

  • 設備の生産に用いる材料(シリコン・ガラス・金属・プラスチックなど)の原料採掘・精製・運搬
  • 設備の製造・設置
  • 保守用部品の製造・運搬
  • 使用後処理(解体・廃棄・リサイクルなど)

これらについて、実際に使用される材料やエネルギーに基づいて計算した研究から、次のような結果が得られています。

太陽光発電システムのエネルギーペイバックタイム(単位:年)

多結晶 Si単結晶 Sia-Si/単結晶 Si
へテロ接合
薄膜 Si
ハイブリッド
CIS 系
住宅用基本ケース2.203.012.421.751.41
リサイクル効果考慮ケース2.022.782.221.451.08
リサイクル促進ケース1.652.401.901.350.96
公共・産業用基本ケース2.583.382.752.311.89
リサイクル効果考慮ケース2.283.042.451.841.42
リサイクル促進ケース1.912.662.131.751.30
出典:みずほ情報総研「太陽光発電のライフサイクル評価に関する調査研究」(NEDO報告書 No.20090000000073)
  • リサイクル効果考慮ケースでは、太陽電池モジュールのアルミフレームや周辺機器(BOS)を構成するアレイ鋼材などのリサイクルによりエネルギーペイバックタイムが短縮されます。
  • リサイクル促進ケースでは、太陽電池モジュールのセルやガラスなどのリサイクルによりさらに短くなります。

以上のことから、太陽光発電技術の種類や住宅用/公共・産業用の違いによって、ある程度幅はあるものの、日本での太陽光発電のエネルギーペイバックタイムは1〜3年と見積もることができます。

そして、これらの数値は技術やリサイクルシステムの進展によってさらに短縮される可能性があります。

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